yoshilog

読書記録用。たまにそれ以外。

『猫を抱いて象と泳ぐ』を読んで

あらすじ
出生時に上下の唇が癒着しており、切り離し手術で唇に脛の皮膚を移植した主人公は、成長に伴い唇に産毛が生え孤独な少年となっていたが、あるとき廃バスに住むマスターと知り合った。マスターにチェスを教わった彼はたちまちチェスにのめり込み、美しいチェスを指すようになる。だが、大きくなることに恐怖感を抱き、チェス盤の下でしか実力を発揮できない彼は、マスターの死後、表舞台には立たず地下チェスクラブで“リトル・アリョーヒン”というからくり人形を操ってチェスを指すことになる。“リトル・アリョーヒン”の芸術的なチェスは大変な話題になり、11歳で成長が止まっていた彼もまたリトル・アリョーヒンと呼ばれたが、ある事件をきっかけに彼は“リトル・アリョーヒン”とともにクラブから逃走する。 

美しい文章 

チェスを主題とした人生の小説。

しかし、チェスを全くしない私でも問題なく読めた。その理由の一つに文章があると思う。

小川洋子さんの美しく優しい文章は読んでいるだけで楽しい。

チェスが本当に宇宙や海と同じような雄大さ持っていると語るにふさわしい 文章だと思う。

 

個性的な登場人物 

 ミイラ、マスター、インディラ、ポーン、祖母、老婆令嬢、そしてアレクサンドル・アリョーヒン。

それぞれがそれぞれ個性的でかつ、そのどれもが優しい。

しかも象のインディラはビショップ、猫はポーン、人形としてのアリョーヒンと主人公等、複数のものが重なり合い、共鳴しあって物語の奥行きを作っている。

僕はマスターが特に好きでした。

 

さいごに

読んでよかった、素晴らしい作品だと思います。

あと、読めば必ずチェスがやりたくなります。笑