宮本輝「錦繍」
『錦繍』
著者:宮本輝
あらすじ
会って話したのでは伝えようもない心の傷。14通の手紙が、それを書き尽くした。
「前略 蔵王のダリア園から、ドッコ沼へ登るゴンドラ・リフトの中で、まさかあなたと再会するなんて、本当に想像すら出来ないことでした」運命的な事件ゆえ愛しながらも離婚した二人が、紅葉に染まる蔵王で十年の歳月を隔て再会した。そして、女は男に宛てて一通の手紙を書き綴る――。往復書簡が、それぞれの孤独を生きてきた男女の過去を埋め織りなす、愛と再生のロマン。
書簡体小説
手紙のやりとりを利用した小説の形式です。
男女間の14通ものやりとりがこの小説を形作っています。
読みやすい
非常に読みやすかったです。宮本輝さんの小説は初めて読みましたが、読みやすくそれでいて美しい文章だと思いました。小川洋子さんのときも美しいと表現しましたが、小川洋子さんが宝石のような美しさに対し、宮本輝さんの文章はもっと静かなものを感じました(内容のせいでしょうか。語彙力がなくて悔しい)。
秋の本
錦繍とは、美しい織物のことをいうそうですが、もう一つ、美しい紅葉や花のことを表す言葉でもあるそう。
この小説でも所々に秋を感じさせる美しい場面が出てきます。以前のわたしは秋の小説といえば、麻耶雄嵩さんの『鴉』が思い浮かんでましたが、これからはこの小説も同じく頭に浮かぶことになると思います。
わたしはたまたま秋に読み、没頭できてよかったです。秋に読むことをおすすめしますが、それ以外の季節でも楽しめるかと。
まとめ
忙しくても本を読むと啖呵を切ってブログに記録し始めたものの、すぐさま忙しくなり滞りそうに……。
しかし、必ず30分は読むようにしてます。スケジュール的に読めそうにない日は起きる時間を早めました。眠くなったりもしますが、それ以上に小説が面白いのが救いです。