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読書記録用。たまにそれ以外。

福岡伸一『やわらかな生命』

『やわらかな生命』

著者:福岡伸一 

 内容

生命を構成するパーツには重複性があり、可変性がある。余剰があり、融通無碍で、遊びがある。生命の特性はその自由度にこそあるのだ―芸術と科学をつなぐ深く、色鮮やかな本質。珠玉のエッセイ集。

 

時間が無い人はエッセイ集が向いてる

福岡伸一氏のエッセイ集です。

時間がなくて、作業の合間合間や移動時間に読む場合、時間が細かく刻まれがちです。

僕の場合長編はいっきに読みたい人なので、そういう場合には短編かショートショート、そしてエッセイ集がとてもあっています。

読書癖をつけたいかたにもおすすめで、一つの章が短いのでどんどん読んでる感覚が得られます。

 

分子生物学の権威だが

作者の福岡伸一氏は青山学院大学教授で分子生物学者です。生物学にも虫やフェルメール、読書など、様々な方面に造詣が深く、いろいろな場所で活躍されてます。

この『やわらかな生命』も週刊文春のコラムを編纂したもので、内容は多岐にわたりますが、基本的には福岡伸一氏の生命観で溢れています。

そして読書少年だった福岡伸一氏らしく、詩的表現も随所に散りばめられ、且つ読みやすいです。

 

動的平衡という考え方

福岡伸一氏は『生命とはなにか?』ということを考えたときに従来の”自己複製能力の有無”等ではなく、”動的平衡”こそが生命の根幹だと考えました。

動的平衡とは、寄せては返す波のようなもので、”生命は流れだ”という考え方です。

もう少し解りやすく大雑把に説明すると、細胞は壊しては作り、壊しては作り……を繰り返しています。そのサイクル、流れこそが生命現象だという考え方です。

この辺に関しては同じく福岡伸一氏の著書を読むと理解できると思います。

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

 

この動的平衡という言葉、考え方が福岡伸一氏の人生の大きなキーワードになっているようで、エッセイや他のコラムの中でも頻出します。

 

まとめ

福岡伸一氏のエッセイには男の子が好きなロマンみたいなものが詰まっているように思えます。本人がいうようにセンス・オブ・ワンダーをとても大切にしていらっしゃるようで、趣味上手という感じがしますね。

僕もカメラ、音楽、小説と好きなものは数ありますがここまで深く探求はできてないんじゃないかなあ。それだけが全てでは無いと思いますが。